猫の大動脈血栓塞栓症について

猫の大動脈血栓塞栓症について

 

血栓という血の塊が、大動脈など全身の動脈に塞栓する(つまる)病気です。なぜ、血栓ができるのか?それは、心筋症による血流速度の低下や血液の停滞、細菌性心内膜炎や自己免疫疾患が原因です。塞栓が起こる動脈として、腹部大動脈・腎動脈・腸間膜動脈・冠動脈・大脳動脈・上腕動脈などがあり、塞栓部位により症状が異なるため神経麻痺や骨折などとの鑑別が重要になってきます。

 

【症状】

・突然の後肢麻痺(両後肢が多い)

・脚の冷感

・痙攣

・痛み(塞栓部位の)

・よだれ

・呼吸速迫(開口呼吸)

 

【診断】

股動脈の触診・聴診・心電図検査・胸部レントゲン検査・超音波検査・血液検査を行い総合的に判断する。塞栓を起こしている脚は痛く、心拡大や肺水腫を伴っている場合も多いのでねこちゃんの様態を見ながら随時検査を進めていきます。

 

【治療】

治療方法は大きく3つに分けられます。

①保存療法

②血栓溶解療法

③外科療法

しかし、残念ながらいずれの治療も良好な結果が得られるものではありません。

①保存療法

低分子ヘパリンを用いる場合が多いです。費用的な面で血栓溶解剤が使用できな場合や発症から1日以上経過している場合に用います。同時に、鎮痛剤や鎮静剤なども用い痛みの緩和を行います。それでも死亡率は60%以上と報告されています。

②血栓溶解療法

ウロキナーゼやt-PA製剤という血栓溶解剤により直接、原因となる血栓を溶かす試みです。発症してから数時間以内が適応可能(人では冠動脈血栓の場合発症後6時間以内)です。しかし、この治療も死亡率が50%以上であり、凝固不全による全身出血のリスクや血栓溶解による再還流性ショック(滞ってた血が全身に戻っていくことによる)があり、t-PA製剤は1本数万円もするので非常に高額となります。

③外科療法

開腹して血栓を除去する方法や血管内カテーテルにより除去する方法がありますが、こちらも死亡率は高くなっています。また、麻酔が必要であり、心疾患が原因の場合はリスクが上がります。

 

【ほっておくと…?】

猫の血栓塞栓症は予後が一般的に悪いと報告されています。それでも、血栓が溶け状態が戻る可能性や痛みを緩和してあげることができます。状態が回復しても、塞栓症の原因となった病気と向き合わなければなりません。そのためには、定期的な健診で心臓の音を聴いてもらい、必要であれば心臓の超音波検査や胸部レントゲン検査をすることをすすめます。

 

Filed under: お知らせ・新着情報,西井先生のブログ — nishii 1:15 PM
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