副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)について

こんばんは。獣医師の西井です。

今回はホルモンの病気についてご説明します。

 

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)とは

副腎は左右の腎臓の横に1つずつある臓器で、副腎の皮質から分泌されるグルココルチコイド(コルチゾール)は、体をストレスから守ったり、炎症を抑える効果があります。この機能が亢進することによりさまざまな症状がでてくるのがクッシング症候群です。

【症状】

・多飲多尿(1日に体重1kgあたり100ml以上のお水を飲む。たとえば、体重10kgのわんちゃんが1日に1ℓ以上のお水を飲む)

・食欲が増加する

・運動していない時でもパンティング(ハァハァする)が多い

・お腹が膨れてくる

・左右対称の脱毛が認められる

・糖尿病の治療をしているがなかなかインスリンの量が定まらない

・筋肉量が落ちてくる

・元気がなくなる

・皮膚のはりがなくなる

・皮膚の石灰化がみられる

・色素沈着がある        など

【原因】

クッシング症候群の原因は3つあります。

①下垂体性

自然に生じるクッシングの80~85%を占める下垂体の良性腫瘍です。下垂体には副腎皮質を刺激するホルモンがでており、下垂体腫瘍によりこの副腎皮質刺激ホルモンがたくさん分泌され、コルチゾールの過剰分泌が生じます。

②副腎腫瘍

副腎自体が腫瘍化し、コルチゾールが過剰に分泌されます。良性と悪性の割合は1:1と報告されています。

③医原性

おもに、アレルギー性疾患や免疫介在性疾患の治療のために、長期間、過剰のコルチゾール(ステロイド)が使用された結果生じます。

【診断】

飲水量やステロイドの投与歴などの問診、血液検査、超音波検査による副腎の大きさのチェック、CT・MRI検査による腫瘍の有無により原因を発見します。クッシング症候群になっているかどうかは、ACTH刺激試験と呼ばれる検査により8割近く診断できます。ACTH刺激試験とは、副腎皮質刺激ホルモンをわざと注射し、注射前後の血液中のコルチゾールの量の変化により診断します。

【治療】

下垂体性のクッシングでは、下垂体の活性を抑制する薬により治療します。副腎腫瘍では、外科手術により副腎を摘出するか薬により活性を抑制します。医原性クッシングでは、ステロイドの投与を減らしていくことで自然に治っていきます。

【ほっておくと…?】

クッシング症候群は、インスリン(血糖値を下げる働き)の働きを妨げることにより糖尿病を引き起こす原因になります。また、下垂体性腫瘍の場合、腫瘍が大きくなることで脳への圧迫が強くなり、神経症状(昏迷、運動失調、旋回、行動の変化など)が出てくる可能性があります。もっとも怖いのは、過剰のコルチゾールにより高血圧、フィブリン溶解の抑制(血管内で固まってしまった血液が溶けにくくなる)により肺の血管を閉塞し、肺血栓塞栓症を引き起こすことです。「最近、お水を飲む量が増えたなぁ」「お腹がふくれてきた?」と少しでも気になる点があれば、できる限り早くにかかりつけの先生に相談してください。

 

Filed under: 西井先生のブログ — tsuji 8:24 PM
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