ネコの甲状腺機能低下症について

こんばんは。獣医師の西井です。

前回、わんちゃんの甲状腺機能低下症についてご説明しましたが

今回は、ねこちゃんの甲状腺機能低下症についてご説明します。

 

ねこちゃんの甲状腺機能低下症の原因は大きく2つに分けることができます。1つめは、医原性甲状腺機能低下症で、両側甲状腺摘出、抗甲状腺薬の過剰投与により生じます。2つめは先天性甲状腺機能低下症で、ヨウ素の有機化が障害され甲状腺のホルモン生合成を障害したり、甲状腺形成不全により生じます。また、アビシニアンでは、遺伝性のヨウ素有機化障害が報告されています。医原性は成猫で多く、先天性は仔猫が多くそれぞれ症状が異なります。

【症状】

①医原性甲状腺機能低下症

・元気がなくなる

・食欲不振になる

・肥満

・乾性脂漏症(皮膚が乾燥し皮膚に白いかさぶたのよなものができる。フケが多くなる)

・被毛が乾燥してつやがなくなりぼさぼさになる

・脱毛しやすくなり、毛がなかなか生えてこない(特に耳)

・顔面がむくんだようにはれる

②先天性甲状腺機能低下症

生まれたときはほかの仔猫とかわりませんが、6~8週齢で成長の遅れが明らかになってきます。そこから数か月にわたって、頭部の拡大・短く太い頸部(首)・短い四肢を伴う「不均衡性矮小症」がみられるようになり、元気がなくなったり、無感情になったり、便秘、低体温、除脈、永久歯の発育遅延などが生じてきます。

【診断】

診断には、病歴、症状、身体検査を行い、甲状腺機能低下症が疑われる場合には、血液検査、血清コレステロール測定(甲状腺機能低下症により高コレステロール血症になっている可能性があるため)、甲状腺ホルモン測定(T4、fT4)、TRH刺激試験を行います。

【治療】

甲状腺ホルモン薬を飲むことで症状予防できます。しかし、飲む薬の量によっては逆に甲状腺機能亢進症になる可能性もあるのでそれぞれにあった投与量が決まるまでは、定期的な健診と甲状腺ホルモン濃度の測定が必要になります。

【ほっておくと…?】

ほぅておくと、元気が次第になくなり食欲も落ちてくるので栄養状態が悪化していきます。除脈の進行により命の危険が伴う場合もあります。特に、仔猫の先天性甲状腺機能低下症では、治療が遅れると骨や筋肉の発育異常がより重度になっていきます。早期に原因が発見でき治療につなげることができれば、その後の生活の質(QOL)も向上するので同じような症状がみられた場合は、できるだけ早くに相談されることをおすすめします。

 

 

Filed under: 西井先生のブログ — nishii 5:12 PM
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