甲状腺機能亢進症について

こんばんは。獣医師の西井です。

今回も引き続きホルモンの病気についてご説明します。

 

甲状腺機能亢進症について

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモン(サイロキシン:T4 遊離サイロキシン:fT4)が過剰に生成・分泌される病気で、甲状腺の腫瘍によるものが多いです。主に高齢のねこちゃんの約9%が発症し、わんちゃんでの発症は少ないと報告されています。免疫、感染、栄養、環境、遺伝的な要因が原因ではないかと考えられていますが、明らかになっていません。

【症状】

・体重減少

・多食(ご飯をたくさん食べるが体重が減っていく)

・斑点状の脱毛

・多飲多尿

・嘔吐、下痢

・攻撃的になる

・活動が活発になる

・頻脈

・呼吸困難

【合併症】

・甲状腺中毒性心筋症

・腎不全

・全身性高血圧

・消化器症状

【診断】

甲状腺腫瘤が触診できるか(触診できない場合もある)、症状に合致することが多いか、血液検査で他に異常がないかを調べ、血液中の甲状腺ホルモン(T4、fT4)の量を調べることで確定診断します。

【治療】

治療方法は甲状腺を外科手術により摘出する方法、抗甲状腺薬を飲む方法、放射性ヨウ素で治療する方法の3種類ありますが、日本では、放射性ヨウ素を用いた治療は法律により実施できません。外科手術をするにしても、まずは抗甲状腺薬を飲み、合併症を改善する必要があります。特に高齢のねこちゃんの20%は腎不全になるので、甲状腺機能亢進症と腎不全の両方ある場合、甲状腺機能亢進症により腎臓の血流量の増加や糸球体濾過量が増えるため腎不全の症状が隠されてしまうことがあり、甲状腺機能亢進症が腎臓の機能にどれだけ影響を与えているかを事前に知る必要があります。

外科手術は、根治的な治療になりますが異所性の甲状腺や転移病巣がある場合には治療効果がない場合があるのと、甲状腺を完全に切除するので甲状腺機能低下症になる可能性もあります。手術後は、甲状腺機能低下症の徴候がないか?低カルシウム血症になっていないか?のモニタリングが重要になります。抗甲状腺薬は、甲状腺機能亢進症をコントロールするために用いるので、維持するためには毎日の投薬が必要になります。また、効果が表れる薬の量はねこちゃんにより異なるため、安定した効果が現れるまでは、週に1回の通院が必要になります。投薬を開始後は、下痢や嘔吐がないか?顔や四肢の痒みがないか?血液成分のバランス異常がないかをモニタリングします。

【ほっておくと…?】

ほっておくと、甲状腺中毒性心筋症が進行し、頻脈・不整脈・心雑音・胸水がたまる・心臓が肥大する・肺水腫が生じる危険性があります。また、高血圧を生じたねこちゃんでは、高血圧による網膜剥離や眼底出血が生じ急に眼が見えなくなったと気づくこともあります。8歳を過ぎた高齢期に入るねこちゃんでは、特に注意が必要です。

 

Filed under: 西井先生のブログ — nishii 7:41 PM
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