犬の甲状腺機能低下症について

こんばんは。獣医師の西井です。

今回も引き続きホルモンの病気について、まずはわんちゃんからご説明します。

 

犬の甲状腺機能低下症について

わんちゃんの甲状腺機能低下症は、甲状腺の構造または機能の異常により甲状腺ホルモンの産生が不足する病気です。原発性甲状腺機能低下症、二次性甲状腺機能低下症、三次性甲状腺機能低下症、先天性甲状腺機能低下症の4つに分類され、わんちゃんでは、原発性甲状腺機能低下症の発生が最も多いと報告されています。

【原因】

①原発性甲状腺機能低下症

・リンパ球性甲状腺炎

・特発性萎縮

・腫瘍性の破壊

・医原性(外科的な摘出、抗甲状腺薬など)

リンパ球性甲状腺炎はと特発性萎縮が原発性でみられる2つの代表的な原因です。リンパ球性甲状腺炎は、免疫介在性疾患で引き金となる因子は明らかになっていないが遺伝性訴因が関与しているといわれています。特発性萎縮は、甲状腺実質の喪失を特徴とするがこれも原因は明らかになっていません。

②二次性甲状腺機能低下症

・下垂体形成不全

・下垂体破壊(腫瘍による)

・下垂体の甲状腺刺激ホルモン産生細胞の抑制(自然発生の副腎皮質機能亢進症による)

・医原性(ステロイド、放射線療法、下垂体切除)

③三次性甲状腺機能低下症

・先天性視床下部形成不全

・後天性の視床下部破壊

どちらもヒトでの報告はあるそうですが、わんちゃんでは報告がありません。

④先天性甲状腺機能低下症

・甲状腺発生異常(無形性・形成不全・嚢胞)

・ホルモン生成異常(ヨウ素有機化障害)

・食物性ヨウ素の摂取不足

【症状】

・精神的に感覚が鈍くなる(鈍麻)

・元気がなくなる

・運動したがらない(運動不耐性)

・運動をいやがる

・食欲や食べる量が増えていないのに体重が増加する

・脱毛(左右対称・非対称・局所)

・ラットテール(しっぽの毛だけがぬける)

・脂漏症(皮膚の脂成分が多くなる)や膿皮症(皮膚炎)

・毛に光沢がなくなり、乾燥している

・発作

・前庭障害(斜頚、旋回運動など)

・顔面神経麻痺   など

【診断】

血液検査により貧血や高脂血症、高カルシウム血症が認められることがあり、確定診断には、血液中の甲状腺ホルモン量を測定します。

【治療】

甲状腺ホルモン薬を飲むことで血液中の甲状腺ホルモンの量を調節します。

【ほっておくと…?】

原発性甲状腺機能低下症のわんちゃんでは、適切な治療を受けることにより、余命に対する影響はありません。しかし、仔犬のでは、成長段階でホルモンが欠けるのは骨や筋肉の成長に影響を及ぼし、関節炎を起こしたり発育異常を示したりするために、早期の治療開始が必要になります。また、腫瘍が原因の場合、脳や他の部位に波及する可能性があります。

 

Filed under: 西井先生のブログ — nishii 9:15 PM
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